牙科

「牙科」とは中国で歯医者を指す。
この牙科だが、青島では路上で開業する辻牙科まで目にした。
中国の人たちは全体的に、あまり歯の手入れをしていない様に
見受けられる。特に農民工の歯は、日本的な尺度で手遅れ的な
状態の人が多い。
そんな農民工向けの歯医者として辻牙科は機能している様だ。
なんだか凄く痛そうな手術を普通に路上で行っているので
ついつい見入ってしまう。
施術している歯医者も、きちんと白衣を着て、免許書的な物を
胸に付けているので、一応は学校を出た人間なのだろう。
開業資金の無い駆け出しの歯科医がああいった、辻牙科を
開くのだろうか。
日本ではまず見られない奇妙な光景。



ウイグル自治区カシュガルにはきちんとした牙科が多い。
街の商店街を歩くとほぼ5軒おきに牙科が現れる。
日本でも歯科医院の数が、コンビニの数を超えていると言われるが、
コンビニどころの騒ぎではない。
またまた、個人的な経験と、大雑把な憶測で物を書かせて頂く。
回教徒はほぼ漢民族なので豚以外はなんでも食べるが、ウイグル族
以西に住むイスラム教徒達は豚はもちろんの事、匂いが気になる
牛も食べない。かといって、漢民族のように庭で鶏を飼ってもいない。
自然、羊が主食となる。
そして羊肉。シシカバブなど、熱々だと滅法美味しいが、冷めてしまうと
とたんに脂が固まり、堅くなる。
調理の仕方や部位にも依るが、基本的に羊肉は、豚肉、牛肉、鶏肉に比して、
堅いと個人的には思う。
また、彼らは農耕民族では無いので、穀物をあまり食べない。
肉、肉、肉の食生活で、それがまた羊肉だと、丈夫な歯が全て
になってくるのだろう。


同じくイスラム教国、ウズベキスタンの列車での事。
途中で銀歯が取れたまま旅行を続けてきて、自分でも
気にしなくなっていた頃、ウズベキスタンの女性に
銀歯が取れている事を指摘された。
左下、奥から2番目の臼歯。
大口を開けて笑ったのでもなく、普通に話をしていただけなのに
ピンポイントで指摘をされた。
そこで感じたのは、ウズベキスタンを含む羊肉を主食とする国の
女性は良い男の条件に、歯の丈夫さも入れているのだという直感。
彼女達はかなりシビアに男性の歯を見ている。


穀物が主食の日本でも、やはり歯は大事。
自分の歯でないと美味しく感じないとは良く聞く話。
旅行先でもきちんと手入れをしていきたいものだ。