パキスタンビザ延長完了

パスポートオフィスにビザ延長申請をして、本日受け取り。
指定時間に受け取りに行ったら、二時間後にまた来てくれとまたまた有りがち
な展開。
近くの公園を散歩していると、パキスタン人が「どこから来たの?」と
英語で声をかけてくる。
「日本だよ。」って答えると、いきなり日本語で、「日本のどこ?」と
問い返されて面食らう。
なんでも栃木県の足利で働いていたらしい。繊維工場とかだろうか。
そういえば、バングラデシュでも千葉県の松戸にある鉄工所で働いていた
というベンガル人に会った。自分も松戸市に住んでいた時期があったので、
どこかですれ違ってるかもねって話をしていた。


なにがどうって話ではないが、彼等は日本で働いた事があり、やっぱり日本を
好きでいてくれている。
やっぱり、日本って良い国なんだろうなって思う。


二時間後にオフィスを再訪し、無事ビザ延長完了。

手相見

宿屋上のまったりスペースでオーナーのマリック氏と二人っきり。
マリック氏、超暇そうでなんだか気まずい。
そういや、他の宿泊者からマリック氏は趣味で手相を見ていると
聞いていたので占ってもらえまいかと話しかけると嬉しそうに快諾してくれる。


人生で初めて手相見をしてもらう。
まず、年齢の質問から。
手の平をじっと見つめて、指で押したり引っ張ったり。
それから、「何か質問をしてくれ。」と一言。
いきなりそう言われても、ちょっと困った。
「じゃあ、結婚はできますか?」
「う〜ん。来年結婚するね。運命の女性とは今年の7月に出会うよ。」
いきなり爆弾発言。
正直、結婚なんて出来る気がしない。
今現在もおもいっきり無職だし。
ちょっと聞いてみよう。
「日本に帰ったら仕事はみつかりますか?」
「君は今迄、色々な仕事を経験してきたね?」
質問を質問で返された。
「いいえ、一つの会社でしかしていません。」
残念そうに「そうか。」とマリック氏。
ちょっと悲しげな顔。フォローを入れなきゃ。
「学生時代に色々な業種のパートタイムジョブは経験しましたが。」
「きっと、それだ!」
マリック氏の顔も明るくなりちょっと安心。
「君は、二つの仕事を掛け持ちでした方がよいね。」
「二つですか?日本では普通そういった事はしないのですが・・・」
「じゃあ、自分で仕事をした方が良いね。」
ときっぱりと断言。
そんなに協調性が無い様に見えているのだろうか。
質問を変えてみる。
「お金の心配はないですか?」
「君はラッキーな男だろう?」
また質問で返された。
でも、自分自身ラッキーガイだとは思っている。
「えぇ、ラッキーだと思います。」
「そうだろう。そうなんだよ。君はラッキーなんだよ。」
答えになってないけど、まぁいっか。
次は寿命を質問。
「何歳まで生きれますか?」
マリック氏、日本で生命線と呼ばれるところを頻りと指で引っ張ってる。
「86歳だね。」
断言した。
長生きの部類だから、まぁいっか。
最後の質問。
「子供を持つ事は出来ますか?」
マリック氏、今度は小指の付け根当たりをしきりと観察している。
確か、この場所も日本の手相見と同じ場所。
今度はマリック氏が返事をしない。
老眼鏡を持って来てしきりと観察しているが答えは、
「良く判らないな。」
なぜ年齢は断言出来て、子供の有無は判らないのよ。
ちょっと心配じゃんよ!
「ちゃんと見て下さいよ。」
とちょっと強引に詰め寄ると、手の平の付け根を見て、
「君は祖父になれるよ。」
「と、言う事は子供を持つ事が出来るって事でしょうか?」
「そうなるね。」
なんでも手の平の付け根に入る線、三本入っていると誰かの祖父になれるらしい。
ちょっと焦ってみたが、別段自分の子供なんて欲しくないかも。
最後にマリック氏からアドバイスが。
「君はいつも考えすぎる癖があるね。もっと楽天的になった方が良いよ。
 だが、心で感じる事よりも、頭で考えた事に従った方がうまくいく。」
ブルース・リーの名言と逆の事を言われてしまった。
これは天の邪鬼な俺の性質を看破した上でのアドバイスなのだろうか?
と、言う事は逆に心の感ずるままに生きろって事でしょうか?
さすが占い師、よく見ているし、どちらとも受け取れるアドバイス


ものすごくセルフィッシュなフランス人がやっぱりマリック氏に手相を見て
もらって、言われた台詞。
「君は若死にするね。」
言われたフランス人、ちょっと可哀想なくらい気に病んでた。
きっと自己中心的だからマリック氏に嫌われたのだろう。
ほんと、人の行動を良く見ている。


少なくとも、マリック氏には嫌われていなかったようだ。
占いなんて、そんなもんだよね。

爆弾テロ

七日前と三日前にあった爆弾テロ。
二回目は宿から500mほどの距離で起こっていたようだ。
事件当日の朝起きるとフランス人が随分と騒いでいたが、実際街に出ると
警官の姿は目立つものの、いつもの街と変わりがなかった。
その翌日、翌々日くらいはアイスクリーム屋に入るにもハンディーの金属探知期
で身体検査をされていたが、あれから数日経った今はいつも通りの街に
戻ってしまっている。
大げさに騒ぐのは海外のメディアであり、大使館であり、一部の旅行者だけだ。
バザールで爆発して多数の民間人を死に至らしめたテロだが、全くもって市民生活
には影響を与えていない。


被害者と、その回りの方達の人生を大きく狂わせはする爆弾テロだが、
テロリスト達の行為で、世界の何かが変わっているとは到底思えない。
深く大きな流れに拳大の石を数個投げ入れた所で、流れは全く変わりない。
市民が動かなければ、政府も動かない。
お前等の暴力じゃ、何も変えられない。
いい加減、理解して欲しい。

差別と

人種差別がメンドクサイ。
特に、インド、パキスタンで顕著なのが中国人差別。
なんで中国人が差別されてるのかってのは、国境問題絡みや、中華街に代表
される内輪でお金を回して土地に還元しない中国人のビジネススタイルに
あるのだろうが、若者の集団に限ってここぞとばかりに馬鹿にする。
「チョンチャンチン」ってのや「チーノ」、中国風の節回しでの鼻歌を近くに
寄って来て繰り返す。


ラホール博物館、静かに鑑賞したいのにそういった頭の悪い若者達に邪魔を
される。
別段、中国人と間違われる事に対しては不満は無い。
だがあまりにしつこいので、俺は日本人だって言ってしまう。
一瞬、怯んだ後におもねる態度を取り出す。だが憮然とした態度をとり続ける。
仲直りがしたいのか、英語が喋れる人間を連れて来て握手して欲しいなんて
言ってくる。
人に嫌われる覚悟も無いのに馬鹿にしてんじゃないよって言ってやりたいが、
高校生位の若者だし、自分の英語も不自由なので勘弁してやる。


大体、馬鹿にする行為ってのは対象を恐れてますという、自分自身の怯えを
証明しているのだとなぜ気が付かないのだろうか。
人種差別もそう。
自分と何も変わらない人間だってのを心の根底では知っているし、もしかしたら
自分より優れているかもしれないってのも知っているからこそ、一生懸命
差別して小さい自分を保とうとする。
ほんとアホみたい。


日本でも様々な差別はある、男女、学歴、その他諸々。
畏れは必要な局面もあるが、恐れは必要ない。
差別や馬鹿にする態度は必要ない。


差別したり馬鹿にしたりする人間に会ったらこう思う事にしている。
「可哀想に、そんなに怯える事無いのに」

パキスタンビザ延長

パキスタンビザ、ツーリストで15日間しかもらえていなかった。
そろそろ切れるので、ビザ延長申請をしにパスポートオフィスへ。


もともとパキスタン人の為のパスポートオフィスなので、発行手続きをしにきた
パキスタン人で黒山の人だかり。
入口もここラホールで連日の様に起きているボミングを警戒して、かなり念入り
なボディチェック。
爆弾は人だかりで爆発するのが常なので、当たり前の対処だが。


毎度、申し訳なさと同時に、ちょっと特別感が味わえるのが外国人対応。
パスポートオフィスでも外国人専用窓口があり、そちらに案内頂く。


オフィサーにビザ延長書類を提出、ちょっと色気を出して2ヶ月下さいって
記入をしておいた。
だが速攻で横棒を引かれ、一週間と訂正される。
パスポートオフィスのポリシーで、一週間しか与えられないとおっしゃる。
困るに。
パキスタンのビザ延長は二回しか受け付けないって話を旅行者から聞いている。
ここで一週間って出されたら、多分次回も一週間、そしたらイランビザ待ち
が出来ない。
本当に困るに。
こういう時の対処法、本当に困った顔をする。
そして哀願。
筋金入りの営業マンである友人が言っていた台詞、
「営業で本当に必要なのって、困った顔なんだよね」
それ、正解!
超困った顔をしたお陰で、オフィサーの態度も軟化。
オフィサー上司と目配せ。
オフィサー上司はそいつの国籍はなに?ってオフィサーに聞いている。
すかさず、日本人ですって自己申告。
だったら、一ヶ月やればいいじゃんってオフィサー上司が発言。
オフィサーも納得。
とりあえず、首の皮一枚で繋がった。
受け取りはお休みを挟むので、三営業日プラス一日で四日。
ラホールはボミング騒ぎ、出来れば長居したくないけど、しょうがない。

アイスクリームでも舐めながら、本でも読んでよう。

線引き

インドとパキスタンの国境、ボーダーはワガという場所になる。
ガボーダーと言えば、両国で通りが良い。
そしてそこでは毎日、日の入り30分前になるとクロージングセレモニーと呼ばれる
儀式をインド兵、パキスタン兵で行っている。
これは、正に両国の威信をかけた兵隊達のパフォーマンスで、観客の数と歓声、
そしてそれを煽るマイクパフォーマンスと旗振り達、愛国心がそのまま形に
なったかのような見せ物となっている。

パキスタン側へ入国してからこのパフォーマンスを見たのだが、やはり
国力の差(人口の差)からか、インド側の観客席の方が倍程大きく、入りも良い。
そしてノリもどこかインド映画的というか、派手で面白い。
パキスタン側はもっと地味、やっぱり男女、両サイドの観客席に振り分けられる。
なぜか、女性席の方が盛り上がる。

奇声に近い声をあげている妙齢の女性、多数。
普段大声出せないのでここで発散させているのか?
尚、外国人は最前列の貴賓席に案内され、男女混合。


国境を抜ける時に感じたが、両国の兵隊の体格は異常に良い。
ほぼ全員、190㎝超えの大男で、大男に有りがちな緩慢な動作ではなく、
ビシッビシッと機敏に動いている。

ちなみに、インド、パキスタン両国共に男性の平均身長は多分、日本と大差無い。
国境にこれだけ大男を集めている事からも、やっぱり身長は国の威信の一部
なのだろうか。
思い出す事が一つ。
中国西部を旅行中、180㎝を超える自分の身長を見て日本人はみんなお前
ぐらい身長があるのか?と質問をされ、まぁ、こんなもんだよって答えたら、
「中国でも東北部の男達は皆、お前以上はある」と言われた。
インド東北部を旅行中、これまた同じ質問をされて、同じ答え方をしたら、
「インド西部の男達は皆、お前以上はある」と言われた。
日本人=小さいって戦前戦中のステロタイプと優越感に凝り固まっている
ようで、予想外に大きい日本人が現れても国単位では負けてはいないという
必死な感じが受け取れ、意地悪にも面白いなって思う。
そんな具合に大きな身長は国の威信と関係するようだ。
大きくて得する事なんて大して無いのに。


マイクパフォーマンスでパキスタン側は
「パキスタ〜ンッ!」
「パキスタ〜ンッ!!」
「パキスタ〜〜ンツ!!!」
インド側は
「ヒンドゥスタ〜ンッ!」
「ヒンドゥスタ〜ンッ!!」
「ヒンドゥスタ〜〜ンツ!!!」
と連呼。
インドもやっぱり、ペルシャ語起源の国(スタン)を名乗っている。
名称ってのは物事を定義する時には便利だけど、やっぱり限界はあるわな
って思う。
ヒンドゥーって言葉は、インダス川サンスクリット名であるシンドゥーに
由来し、ペルシャ人がシンドゥー川の向こう側の国と言ったのが元々で
あるらしい。
だから、今居るワガボーダーのパキスタン側も元々の定義からは、ヒンドゥスタン
に属する事となる。
そして地図を広げて、インド・パキスタン国境を中心に地名を拾い上げていくと
面白い事に気が付く。


インド側
Jodhpur Jaipur Udaipur Soiapur Bijapur Jagdaipur Sambaipur Kharagpur
Kanpur Janapur Brahmapur
Ahmadabad Nizamabad Hyderabad Allahabad

パキスタン
Khairpur Shikarpur Bahawalpur
Islamabad Faisalabad Hyderabad Jacobabad Aliabad Karimabad Muzaffarabad


ヒンドゥー教が根付いた土地では地名の最後にpur(プル)が付く。
一方、イスラム教が根付いた土地では地名の最後にbad(バード)が付く。

1960年に命名されたイスラマバードを除き、他の地名はそれよりもずっと
以前から存在し続けている。
プルもバードも地理的に混在している事から、たとえ都市単位で影響を持つ
宗教は違ったとしても、これらの地域では歴史的に仲良く共存していたのだろう。
だが現在は、パキスタン、ヒンドゥスタンなんて名称まで付けて、無理矢理
分けてしまっている。
パキスタンと現在呼ばれる地域はイスラム教徒が多い土地ではあったのだろうが、
ヒンドゥー教徒と仲良く暮らしていたはずであり、何で分離しなければならな
かったのかは植民地支配をしていたイギリスの思惑が大きく関係をしている。
小さな国が、大きな国を支配するにはどうするか。
大きな国の中にある不和を煽って分離させ、それ同士を戦わせて力を削ぐ。
そして、自国は両方に良い顔をしながら、甘い汁をじっくりと頂戴する。
前回の旅行中、高校時代に使っていた山川出版社の『世界史B』を通読したの
だが、イギリスって国は本当にろくな事をしていない。
歴史に「If」は禁物だが、もしイギリス以外の国で最初の産業革命が起こって
いたら、もっとまともな国際社会になっていたのではないかと思ったりする。
今でも尾を引いてる紛争って、大体が英国の分割統治と二枚舌外交に端を発して
いる。まさに帝国主義の亡霊だ。
なんで、イギリスがここまで良識ある国として認識されているのか理解に苦しむ。
ラグビーは紳士がする野蛮人のスポーツ。
サッカーは野蛮人がする紳士のスポーツ。
クリケットは紳士がする紳士のスポーツ。
真の紳士が少ないからこそ、「紳士」って言葉にすんごい拘る。
日本での「侍」って言葉と似ている。


身長や名称や地名や言葉の線引き、国境線上で思う様々な事。

extreme

extreme

1 〈状態・感情などが〉極端な、非常な、はなはだしい;
 〈状況などが〉極限の
2 (位置が)一番端の、先端[最端]の;一番遠い
3 〈人・行為・手段などが〉極端な、きびしい;行きすぎた;
  〈人・思想などが〉急進的な、過激な;〈流行などが〉最先端を走る
4 最後[最終]の
5 エクストリームの、極限の:自然の環境の中で行われる、危険性の高い
  スポーツについていう


日本へ戻る旅行者から貰った本も合わせ、現在十数冊の本を持ち歩き、
寝る前に読むのでドミトリーでベッドの枕元にまとめて置いてある。
一冊の本を集中して読む事ができず、常に数冊の本を平行して読む習慣が
出来上がってしまっている。
それを見た隣のベッドのオーストリア人から、その大量の本は何?って質問を
される。
ただ、読む為の本だよって答えると、日本人はextremeだと言う。
どうやら日本人っていうと、誰もかもが何かに過剰にのめり込んでいる印象が
あるようだ。
街中をひたすら歩き回る奴、ギターを弾きまくる奴、自転車を漕ぎまくる奴、
本を読みまくる奴、なんか、そんな事を言っている。
また、宿の共用スペースでノートブックPCを使い文章を打っていると、
「指の動きが速すぎて見えない。」とか、
「お前はタイピングマシーンか?」とか言われる。
ちなみに日本国内ではそれほどタイピングが速い部類には入らない。


突然だが、男の悲しい性の産物である、性風俗
世界中の女を(お金で)抱いたと豪語する旅行者が言う。
日本の風俗は宇宙一だと。
サービスの細分化や趣味嗜好に対するレスポンスは、半端ではないらしい。
ここでもやはりextreme。


世界のオタク達の頭の中では日本=アニメ。
キャラクターは当然、好ましい記号の集合体である訳だから容姿から設定まで
過剰の大盛り状態。
女性キャラクターの顔、上半分は目が占める。
目が大きいのはキュートであるが、やりすぎである。
そんな過剰なすべてを、オタクは諸手を挙げてスタンディングオベーション


端的に言って、そんないきすぎなイメージが日本人には付いて回る。
突き詰め方が半端ではないのは他の分野でも遺憾なく発揮されており、製品
造りやサービスにも良く現れている。
例えばNikonCanon以外の一眼デジカメを持っている人間には出会った事が
無い。
それほど、日本の光学機器メーカーの技術とサービスが突出しており、他の
追随を許さないのだという事実。
また生産管理にしても、そのノウハウ自体が商品となるレベルで商社が海外へ
売り込む程のものである。


extreme。
ちょっと馬鹿にされてるんじゃないかとも思うが、そう言われるのは褒め言葉
でもあると思う。